お盆の季節がやってきた。私は、普段から忙しい仕事に追われるサラリーマンであり、出張が多く、移動は主に新幹線を利用することが多かった。仕事柄、移動の頻度が高く、快適さを求めるあまり、新幹線のグリーン車を利用することがほとんどだった。この日も、私は東京から広島まで、新幹線のグリーン車で帰省することになった。
グリーン車のチケットは、ポイントを使って割引で購入できるシステムを活用していたため、いつもよりお得に座席を確保できた。車内は、指定席が満席で自由席もほぼ埋まり、なかなか座れない状態だった。しかし、グリーン車は他の車両に比べて空いていることが多く、ゆったりとした時間を過ごすことができると期待していた。
新幹線が発車し、私は快適なグリーン車の座席に座り、リラックスしていた。車内が少し落ち着いた頃、ふと見ると、子供を連れた母親がこちらに向かって歩いてきた。
母親は、私が座っている席の前に立ち、「席を譲ってほしい」と声をかけてきた。その時、私は少し驚いた。もちろん、母子の事情に同情はするが、まさか見知らぬ人に席を譲ることを強要されるとは思わなかった。
私はすぐに、きっぱりと「嫌です」と答えた。それは、席を譲るべき理由が私にはなかったからだ。母親は少し戸惑いながらも、さらに強く言ってきた。「子供がいるのよ!こんな小さい子を連れて、可哀想だと思わないの?」と。私はその言葉に少しイラッとしながらも、冷静に答えた。「それは、親が覚悟を決めて子供を育てるべきことです。私には関係ありません」と。
私が冷たく対応したにもかかわらず、母親はしつこく言い続けた。「子供がいるんだから、少しは思いやりを持ってくれないの?」と、まるで私が冷酷な人間であるかのように語りかけてきた。その時、反対側の席に座っていた見知らぬおばさんが、突然口を開いた。
「席くらい譲ってあげたら?」と言ってきたのだ。どうして私が譲らなければならないのか、全く理解できなかったが、私は一度冷静に考えてみた。
そのおばさんも、他人の親切心を求めているようだったが、私には譲る理由が全くなかった。自分が仕事で疲れていることや、長時間の移動が続いていることを考えると、他人に譲る義務を感じることはできなかった。
しかし、おばさんがしつこく言い続けたので、私は少し冷ややかな口調で答えた。「あなたが譲ってあげたらどうですか?私は譲るつもりはありません」と。
おばさんは、私の返答に驚いた様子で黙り込んだ。その後、車内を見渡していた私の目に、車掌が近づいてくる姿が映った。どうやら、何かトラブルがあったようで、車掌が対応に来たのだ。しかし、母親はそのまま私に対してまだしつこく話しかけていた。結局、車掌が来て、おばさんの方を見て「その方に席を譲ってあげてください」と言った。私はすぐに、自分がその席に座っていることを再確認し、おばさんが席を譲ってあげるように促された。
おばさんは少し困った様子で立ち上がり、母親に席を譲ろうとしていたが、その際、母親はおばさんにもさらに要求をしていたようだ。「席くらい譲ってくれる人がいるのに、どうしてこんな人ばかりなの?」と、私に対して不満を漏らしていた。しかし、私はもうすでに耳を貸す気はなく、音楽を聴きながら、寝る準備をしていた。
その後、広島までの道中は、何事もなく過ぎ、私は無事に帰省することができた。新幹線での出来事は、私にとってもある意味、貴重な経験となった。普段は快適な移動を楽しむためにグリーン車を利用していたが、この出来事を通して、自分がいかに他人の要求に対して無理に応じてしまうことがないようにしなければならないのかを改めて実感した。
その後も、新幹線での移動は続くが、このような「席を譲ってほしい」という要求に対して、私はきっぱりと自分の意志を持つことを決意した。他人に押し付けられることなく、自分の考えに基づいて行動することこそが、最も重要だと感じたのだった。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=OCaO3WQ3aFQ,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]