舞子は27歳の新婚女性。数日前に起きた突然の出来事で、彼女の人生は一変した。母親が事故に遭い、あっという間にこの世を去ってしまったのだ。母親の突然の死に、舞子は心の準備もできぬまま病院に駆けつけ、その冷たい現実と向き合った。

舞子の母親は若くして父を亡くし、女手一つで舞子と兄を育て上げた強い女性だった。53歳という若さで、この世を去ることになった彼女の葬儀の準備は、舞子と兄が中心となって進めていた。しかし、母の死を悲しむ暇もなく、舞子は思いもよらない義母からの電話を受け取った。

その電話の内容は、葬儀の最中に舞子を急かすものだった。「今から親戚の集まりだから早く帰ってこい」と、義母の声が電話越しに響く。「今、葬儀中だよ」と舞子が説明すると、義母は「だから何？」と冷たく返す。「今日は親戚の集まりだって先週から言っていたじゃない」と言い張る義母に舞子は愕然とし、涙がこぼれそうになった。

義母は、母の死という重い出来事よりも、自分たちの集まりを優先させようとしていたのだ。

舞子はその場の空気に耐えきれず、震える声で「分かりました、すぐにそちらに向かいます」と答えるしかなかった。涙を拭う暇もなく、舞子は車に乗り込み義実家へ向かった。

舞子の夫、文の（ぶんの）は芸術一家の出身で、家族はみな何らかの形で芸術に携わっていた。文のと舞子は、会社で出会い、偶然の縁で結婚することになった。しかし、義母とは最初からあまりうまくいかなかった。文のが家族の中で特に目立って優秀であったため、義母は常に文のを可愛がり、舞子には嫌味を言うことが多かった。

「今日はセンスの悪い服ね」「何で手伝わないの？」など、義母からの言葉は舞子にとって日常的な嫌味だった。それでも文のは舞子を守り、できるだけ義母との接触を避けさせてくれた。だが、義母は舞子に対しての執拗な攻撃を止めることはなかった。

そんな中、舞子の母が急逝し、葬儀の準備が進んでいった。文のは急な海外出張で海外にいるため、舞子は一人で葬儀の手続きを進めていた。母の葬儀を終えた後、舞子は親戚の集まりに出席するために義実家に向かった。しかし、そこには予期しない出来事が待ち受けていた。

義実家に到着した舞子は、喪服のまま涙を拭う暇もなく、義母から引っ張られるように台所へと入れられた。

「人手が足りないのよ、早く手伝って！」と義母は言い、舞子に家事をさせようとする。舞子はその場で反論する気力も失い、ただ黙って義母に従うしかなかった。

しかし、親戚の一人が舞子の姿を見て驚き、声をかけてきた。「舞子さん、どうしてここに？」と疑問を持つ親戚に、義母が慌てて答える。「人手が足りなくて、舞子さんを呼び出したのよ」と言い訳を始めるが、その言葉はすぐに破綻した。舞子の母親は、実は陶芸家としても知られる人物であり、義父は舞子の母親と交流があったが、義母はそのことを全く知らなかったのだ。

親戚たちはその事実を知り、義母の行動に対して非難の声を上げた。「舞子さんのお母さんが亡くなったことを知らないなんて、非常識だ」と言い放たれる義母の姿を見て、舞子は心の中でスカッとした感情を抱くことになった。

そして、義父がその場に現れ、舞子を庇うように「こんな非常識なことはやめてくれ」と義母を叱責した。義父は、義母が暴走しすぎていることに気づき、ついに関係を断ち切る決意をした。義母はその後、離婚を言い渡されることになり、今後どう生きていくかが問題となった。

舞子は、義母の言動に振り回されたが、最終的に家族の理解を得て、自分自身も前を向いて歩き出すことができた。母親の死という辛い出来事を乗り越えた舞子は、今後も夫と共に新しい生活を築いていく決意を新たにした。